06_「Blue Orchid」(アルバム:Get Behind Me Satan) The White Stripes - Blue Orchid (Official Music Video)[12,872,067_2008/10/21]
■曲名:Blue Orchid
■曲名邦題:ブルー・オーキッド
■アルバム名:Get Behind Me Satan
■アルバム名邦題:ゲット・ビハインド・ミー・サタン
■動画リンク:「Blue Orchid」
私はメグ・ホワイトのドラムをどう評価したらいいのか、少し分からないところがあります。
メグのドラムはお世辞にもテクニックがあるとは思いませんし、彼女独特のノリみたいなものも感じられません。
しかしウィキペディアにこういう記述がありました。
ジャックとは対照的にメグのドラミングスタイルは非常にシンプルなものである。
映画『スクール・オブ・ロック』でネタにされるなど、彼女のドラマーとしての能力には懐疑的な声も存在する一方、デイヴ・グロールは「史上最高のドラマー」だとして最大級の賛辞を送っている[7]。
また、アルバム『イッキー・サンプ』のミキシングを行ったジョー・チッカレリは「ジャックが他のドラマーと演奏してもザ・ホワイト・ストライプスのような音にならない。彼女はバンドの音の半分を超えた存在だ」と語っている[8]。
ザ・ホワイト・ストライプス ウィキペディア
彼らが彼女の演奏のどこを評価しているのか、私には正直分かりません。
ドラム単独では、目を引く演奏ではないように思われますし。
ただ彼女のドラムには、テクニックなど無用といわんばかりのプリミティヴさがあります。
細部までこだわったジャックのギターと、あまり難しいことは考えていないようなメグの組み合わせは、不思議な組み合わせかもしれません。
そのイビつな組み合わせのおかげで、彼らの音楽は唯一無二の存在になっています。
07_「Icky Thump」(アルバム:Icky Thump) The White Stripes - Icky Thump (Official Music Video)[25,331,697_2007/05/26]
■曲名:Icky Thump
■曲名邦題:イッキー・サンプ
■アルバム名:Icky Thump
■アルバム名邦題:イッキー・サンプ
■動画リンク:「Icky Thump」
後期の彼らの音楽は、レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)化してきたように思います。
この曲もそういう1曲です。
まずジャックのボーカルは、少しロバート・プラント(Robert Plant)に寄せている感じがしますね。
また2:03からのもったいぶったキメも、1970年代のハードロックっぽい感じがしないでしょうか。
ギターも少しメタリックですし、2:15ぐらいから一瞬入る無国籍なキーボードも、ジョン・ポール・ジョーンズ(John Paul Jones)っぽいですよね。
しかしそれでもレッド・ツェッペリンのモノマネとは思いません。
ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン(The Jon Spencer Blues Explosion)にも言えますが、現代的なセンスが見え隠れしていると思うからです。
たとえば3:12からの音響的なギターの使い方などには、今時の感覚が感じられます。
古い形式に新たな命を吹き込んでいる曲ではないでしょうか
08_「I’m Bound to Pack It Up」(アルバム:De Stijl) The White Stripes I'm bound to pack it up[211,313_2009/08/16]
■曲名:I’m Bound to Pack It Up
■曲名邦題:アイム・バウンド・パック・イット・アップ
■アルバム名:De Stijl
■アルバム名邦題:デ・ステイル
■動画リンク:「I’m Bound to Pack It Up」
彼らは男女の2人組ということで、どういう関係か気になる方もいらっしゃるかもしれません。
彼らは公式には姉妹でジャックが兄、メグが妹として活動しています。
しかし実際には彼らは元夫婦だったようで、デビュー後少し経ってから離婚しています。
それからの2人の関係について引用しておきましょう。
「彼女は、俺が、どんな凄いことを成し遂げても、一緒に喜んでくれるタイプでは絶対になかった。
いつも俺のことを、『はいはい、それがどうしたの?』って感じで見ていたんだ。ホワイト・ストライプス時代のすべての瞬間が本当にそんな感じだったんだ。
例えばスタジオでレコーディングしていて俺が『やばい!今俺達新しい世界を開いたよ!』と言ったとしても、メグは無言でそこで座っているだけだった。
JACK WHITE、「メグは友達じゃない。もうほとんど話しもしない」と語る。
一応補足しておくと、だからといってジャックはメグの存在を否定しているわけではありません。
彼女の子供のようなピュアさが、インスピレーションの源泉だったというようなことを言っています。
さてこの曲の歌詞は、そういう関係をふまえて読むと意味深かもしれません。
この曲では男性側が孤軍奮闘しているけれど、相手とはコミュニケーションがとれていない様子が歌われています。
その後ジャックとメグはそれぞれ違う相手と再婚していますが、両者ともに同じ2013年離婚しています。
当事者にしか分からない不思議な関係なのかもしれません。
09_「You’re Pretty Good Looking (For a Girl)」(アルバム:De Stijl) The White Stripes - You're Pretty Good Looking (For A Girl).wmv[450,953_2008/11/27]
■曲名:You’re Pretty Good Looking (For a Girl)
■曲名邦題:ユー・アー・プリティ・グッド・ルッキング
■アルバム名:De Stijl
■アルバム名邦題:デ・ステイル
■動画リンク:「You’re Pretty Good Looking (For a Girl)」
彼らは売れる前から自分たちのイメージにこだわっていました。
まずアルバムジャケットはどれも秀逸ですが、赤、黒、白の3色ばかりです。
また彼らは夫婦にもかかわらず、兄と妹という設定でデビューしていますが、ばれた後も兄妹設定のままインタビューに応じていました。
音楽的には古いビンテージ機材にこだわり、スタジオ入りしても時間をかけずにレコーディングするのが常です。
彼らのような音楽は初期衝動が大切なので、変にスタジオでこねくり回さないというのは正解っぽいですけどね。
もしかしたら同じラモーンズ姓を名乗り革ジャン・ファッションで統一していた、ラモーンズみたいな存在を目指していたのかもしれません。
ちなみに彼らの解散理由は以下のようなものです。
2011年2月2日にHP上にて解散を発表した。解散理由は、”今まで築き上げてきた自分たちの音楽・アートを最高の形で残したいため”としている。
ザ・ホワイト・ストライプス ウィキペディア
どことなく任務完了といった風情が漂っていないでしょうか。
10_「You Don’t Know What Love Is (You Just Do as You’re Told)」(アルバム:Icky Thump) The White Stripes - You Don't Know What Love Is (You Just Do As You're Told) (Official Music Video)[11,271,829_2009/05/14]
■曲名:You Don’t Know What Love Is (You Just Do as You’re Told)
■曲名邦題:ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ(ユー・ジャスト・ドゥ・アズ・ユーアー・トールド)
■アルバム名:Icky Thump
■アルバム名邦題:イッキー・サンプ
■動画リンク:「You Don’t Know What Love Is (You Just Do as You’re Told)」
このアルバムは彼らのラスト・アルバムです。
心地よいミディアムテンポで進む中、3:12からのギターがすばらしいです。
この後彼らは「アンダー・ザ・グレイト・ホワイト・ノーザン・ライツ(Under Great White Northern Lights)」というライブ・アルバムをリリースし、その翌年解散しています。
「Icky Thump」がリリースされたのが2007年で、翌年ジャックはソロシングル「Another Way to Die」を発表しています。
リンクを貼っておきましょう。
Alicia Keys & Jack White – Another Way To Die
ホワイト・ストライプスと全然違うタイプの曲ですね。
おそらくこの頃には解散に向けて動いていたと思われます。
先程このバンドでは多くの制約があったことを書きました。
イメージ戦略的にも、音楽的にも。
またその制約の中で、かなりの工夫をしていたことにも触れました。
先程の解散の理由は、きれいごとみたいに聞こえる人もいるかもしれませんが、私には説得力を感じられます。
ホワイト・ストライプスという枠の中でできることは、おおよそやり尽くしてしまったように思うからです。
解散後ジャックが始めたラカンターズ(The Raconteurs)も、先程のソロシングル同様違う音楽性のバンドでした。
違う音楽をやるなら、違うバンド名でやるという感じでしょうか。
私は彼らが最後までスタイリッシュなイメージを維持してくれて、とても良かったと思います。