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Serge Gainsbourg  目次  前Donovan  次Southside Johnny & The Asbury Jukes 

01_「Je t’aime… moi non plus」(アルバム:Je t’aime… moi non plus)
Jane Birkin et Serge Gainsbourg - Je T'aime,...Moi Non Plus[36,789,564_2009/05/21]
■曲名:Je t’aime… moi non plus ■曲名邦題:ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ ■アルバム名:Je t’aime… moi non plus ■アルバム名邦題:ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ ■動画リンク:「Je t’aime… moi non plus」
もしかしたら音楽史上で、もっともエロい曲かもしれません。 実際女性のあえぎ声が入っているので、いくつかの国では放送禁止になりました。 当時バチカンも非難する声明を出したぐらいです。 この曲を聞く時は、周囲に人がいないか確認してから聞く必要がありますね。 元々この曲は当時の不倫相手、ブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)のために書かれた曲です。 曲名「Je t’aime… moi non plus」では「愛している」と言う女性に対して、男性は「俺は愛していない」と返しています。 愛していない割には、お盛んみたいですが。 この曲はバルドーともレコーディングしましたが、その時彼女は既婚者でした。 当然バルドーの夫の理解が得られるはずもなく、当時はリリースが見送りとなったようです。 そこで彼は次の交際相手ジェーン・バーキン(Jane Birkin)に、この曲を歌わせることにしました。 初出は「Jane Birkin – Serge Gainsbourg」に収録されましたが、上ではサントラのジャケットを掲載しています。 この曲は1976年、同名の映画の主題曲に採用されています。

02_「Elisa」(アルバム:Jane Birkin – Serge Gainsbourg)
serge gainsbourg- Elisa- 1969[2,146,984_2011/02/02]
■曲名:Elisa ■曲名邦題:エリザ ■アルバム名:Jane Birkin – Serge Gainsbourg ■アルバム名邦題:ジェーン&セルジュ ■動画リンク:「Elisa」
先程言及したジェーン・バーキンとの共同名義のアルバムです。 こちらの曲では、ゲーンズブールが単独で歌っていますが。 ジェーン・バーキンといえば、エルメスのバッグの名前の由来にもなった希代の美女です。 このアルバムの前年となる1968年、彼女はゲーンズブールと出会って、彼に一目ぼれしたのだそうです。 その後2人は交際に発展しました。 バーキンとゲーンズブールは同居を始め、事実婚という形で関係を続けました。 2人はその後1980年に別れたのですが、最後はけんか別れではなかったそうです。 その間ゲーンズブールがバーキンにプロポーズしたことがあったそうですが、その時バーキンは断ったのだとか。 しかし後年バーキンは、断ったことを後悔したそうです。 この曲のエリザという女性は、バーキンのことを指していると思われます。 彼は多くの女性と浮名を流しましたが、多くは短期間のアバンチュールでした。 その中でバーキンは、彼にとって運命の女だったかもしれません。 バーキンへの愛情が感じられる曲です。

03_「Tout mou tout doux」(アルバム:En studio avec Serge Gainsbourg)
Tout mou tout doux[4,343_2018/07/26]
■曲名:Tout mou tout doux ■アルバム名:En studio avec Serge Gainsbourg ■動画リンク:「Tout mou tout doux」
この曲はオリジナル・アルバム未収録曲なので、ご存知ない方も多いかもしれません。 編集盤からご紹介してみました。 隠れ名曲といえるでしょうが、これがなかなかの出来です。 ミディアム・ファンクの曲で、演奏がかっこいいですね。 彼のボーカルは基本ボソボソしているので、サウンド面の工夫がないと一本調子になりがちかもしれません。 しかしこの曲で時々入るセルジュのスキャットは、不思議な存在感を出しています。 これをスキャットと言っていいものか。 モノローグとスキャットの中間みたいな感じかもしれません。

04_「Aux enfants de la chance」(アルバム:You’re Under Arrest)
Serge Gainsbourg - Aux enfants de la chance (Clip Officiel)[1,114,665_2021/01/09]
■曲名:Aux enfants de la chance ■曲名邦題:幸せな子供たちへ ■アルバム名:You’re Under Arrest ■アルバム名邦題:囚われ者 ■動画リンク:「Aux enfants de la chance」
私はこのアルバムで初めてゲーンズブールを聞いた時、なぜこんなにセクシーなんだろうと思いました。 しかも結構な年齢でしたし。 このアルバムは1987年のリリースですから、彼は当時59歳。 彼は1991年に61歳の若さで亡くなっています。 死因は心筋梗塞なのだとか。 この作品は「ゼニット・ライヴ(Le Zénith de Gainsbourg)」を除くと、オリジナル・アルバムとしては最後のアルバムです。 私は彼が亡くなった時のことを、よく覚えています。 当時多くの人が雑誌で彼の追悼記事を発表していて、私もただエロいだけの人ではないことを知りましたから。 彼は多くの人に愛されたようです。 遺体はパリのモンパルナス墓地に埋葬された。 セルジュ・ゲンスブールの墓を訪れる人は後を絶たず、彼らが「リラの門の切符切り」にちなんで地下鉄の切符を供えるため、墓の周りにはいつも無数の切符が散らばっている。 セルジュ・ゲンスブール ウィキペディア 私は当時このアルバムを聞きながら追悼記事を読んだことを、不思議と鮮明に覚えています。

05_「Je suis venu te dire que je m’en vais」(アルバム:Vu de l’exterieur)
Serge Gainsbourg - Aux enfants de la chance (Clip Officiel)[1,114,688_2021/01/09]
■曲名:Je suis venu te dire que je m’en vais ■曲名邦題:手ぎれ ■アルバム名:Vu de l’exterieur ■アルバム名邦題:ゲンスブール版女性飼育論 ■動画リンク:「Je suis venu te dire que je m’en vais」
彼の全盛期は1960年代だという人も少なくありません。 しかし私は1970年代の方が好みですし、代表作と言われるアルバムはその時代に集中しています。 彼は1958年にデビューして1991年に亡くなっていますから、かなりキャリアの長い人だといえるでしょう。 全期間を対象にすると曲調がばらけるので、今回は対象期間を1969年以降に限定しました。 とはいえそれ以前にも、数多くの名曲があります。 「リラの門の切符切り(Le Poinçonneur des Lilas)」や「イニシャルB.B.(Initials B.B.)」なども捨てがたいですが、味わい深い曲を1曲ご紹介します。 Serge Gainsbourg – LaLlicorne 1970年代になるとヒット・メイカーではなく、作家性が強くなってきた感じがします。 このアルバムも良質のシンガーソングライターといった趣きですし。 しかし邦題の「ゲンスブール版女性飼育論」というアルバム名は、今ではありえませんよね。

06_「Lola Rastaquouere」(アルバム:Aux Armes Et Caetera)
Serge Gainsbourg - Lola Rastaquouere[1,116,762_2011/08/04]
■曲名:Lola Rastaquouere ■曲名邦題:ローラ・ラスタケールという女 ■アルバム名:Aux Armes Et Caetera ■アルバム名邦題:フライ・トゥ・ジャマイカ ■動画リンク:「Lola Rastaquouere」
このアルバムには有名曲が入っています。 リンクを貼っておきましょう。 Serge Gainsbourg – Aux Armes Et Caetera (La Marseillaise) この「祖国の子供たちへ(Aux Armes Et Caetera (La Marseillaise)」は、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の歌詞の一部を引用したパロディ・ソングです。 この曲が発表されるとフランス国中が大騒ぎになりました。 フランスの右翼系団体が怒りの声明を出して、ゲーンズブールが脅迫を受ける事態にまで発展しました。 彼はライブの前、警察から安全を保証できないと、中止するよう通告されたようです。 しかし彼はライブを決行しました。 当日は多くの群衆がライブに押し寄せ、その中には過激派も紛れ込んでいることが予想されました。 異様な空気から、バンドのメンバーはステージに出ることを拒否する有様でした。 そんな中ゲーンズブールは1人ステージに向かい、アカペラで「ラ・マルセイエーズ」を歌ったのだそうです。 過激派はその豪胆さにあっけにとられ、ただ彼の歌を聞くしかありませんでした。 この話は今では伝説として語り継がれています。 私の追悼記事でこの逸話を知り、他のアルバムも聞かなければと思ったものです。 といいながら、別の曲を紹介していますが(笑) 私は楽曲としては、こちらの「Lola Rastaquouere」の方が好みです。

07_「L’hotel particulier」(アルバム:Histoire de Melody Nelson)
Serge Gainsbourg •ั L'Hôtel Particulier (HD)[394,329_2014/01/21]
■曲名:L’hotel particulier ■曲名邦題:特別ホテル ■アルバム名:Histoire de Melody Nelson ■アルバム名邦題:メロディ・ネルソンの物語 ■動画リンク:「L’hotel particulier」
彼の最高傑作はこのアルバムです。 ある中年男性がメロデイ・ネルソンという少女と出会い、悲劇の結末を迎えるまでのストーリーが描かれています。 今回は1曲だけですが、できればアルバム一枚通して聞くことをおすすめします。 音楽だけなのに、映画を見終わったような感覚が味わえますから。 このアルバムは、カヒミ・カリィなど多くの人が心酔していることで有名です。 この曲はレ・リタ・ミツコ(Les Rita Mitsouko)もカバーしていました。 ちなみにこのメロディのモデルは、ジャケットに映っているジェーン・バーキンです。 ジャケットでお腹を隠しているのは、この時バーキンのお腹がふくらんでいたからなのだとか。 この時彼女は妊娠していました。 その時にお腹の中にいたのが、シャルロット・ゲンズブール(Charlotte Gainsbourg)です。 このアルバムでは悲劇的な物語が描かれていますが、私生活では幸せの絶頂だったのですね。

08_「Aeroplanes」(アルバム:L’Homme a tete de chou)
Serge Gainsbourg - Aeroplanes[55,733_2011/12/07]
■曲名:Aeroplanes ■曲名邦題:複葉飛行機 ■アルバム名:L’Homme a tete de chou ■アルバム名邦題:くたばれキャベツ野郎 ■動画リンク:「Aeroplanes」
このアルバムもコンセプト・アルバムです。 本作は、「キャベツ頭の男」と呼ばれる男と、理髪店のシャンプー係だった女性マリルーを中心とする物語となっているコンセプト・アルバムである。 くたばれキャベツ野郎 ウィキペディア 彼のアルバム・コンセプトは、女性とのストーリーばかりです。 ゲーンズブールは、フランスきってのプレイボーイでした。 彼が交際していたと言われるのは、 ブリジット・バルドー、ジェーン・バーキン、バンブー、アンナ・カリーナ、マリアンヌ・フェイスフル、ペトゥラ・クラーク、ブリジット・バルドー、カトリーヌ・ドヌーヴなど。 当時の美女を制覇する勢いではないでしょうか。 しかし彼は顔立ちが整っているタイプのイケメンではありません。 ただとにかく色気のある男でした。 彼のフェロモンは、音楽にもよく表れています。 この曲などは、フェロモンがありすぎるルー・リード(Lou Reed)といった趣きがあります。

09_「Negusa Nagast」(アルバム:Mauvaises Nouvelles des etoiles)
Negusa Nagast[2,980_2018/06/21]
■曲名:Negusa Nagast ■曲名邦題:ネグサ・ネガスト ■アルバム名:Mauvaises Nouvelles des etoiles ■アルバム名邦題:星からの悪い知らせ ■動画リンク:「Negusa Nagast」
先程「Lola Rastaquouere」というレゲエの曲をご紹介しました。 このアルバムはその続編で、以下の2人がリズムを担当しています。 ・スライ・ダンバー(Sly Dunbar):ドラム ・ロビー・シェイクスピア(Robbie Shakespeare):ベース そして女性コーラスは、アイスリー(I-Three)という豪華な布陣です。 前作はフランス国歌のパロディが大きな話題となりました。 それで少しは反省したかと思いきや、こちらでも物議をかもしています。 「エフゲニー・ソコロフのガス・マスク(Evguenie Sokolov)」という曲は、ひたすらおならの音ばかり続いています。 当然良識的な人は眉をしかめました。 彼は長年お酒におぼれ、退廃的な生活を送っていました。 「もうどうなっちまってもいいじゃねえか」というような自滅型のデカダンスを感じる人です。

10_「Lemon Incest」(アルバム:Love on the Beat)
Serge Gainsbourg, Charlotte Gainsbourg - Lemon Incest (Clip Officiel)[1,133,359_2020/11/28]
■曲名:Lemon Incest ■曲名邦題:レモン・インセスト ■アルバム名:Love on the Beat ■アルバム名邦題:ラヴ・オン・ザ・ビート ■動画リンク:「Lemon Incest」
このアルバムでは愛娘、シャルロット・ゲーンズブールとデュエットしています。 しかし一つ問題があります。 曲名の「Lemon Incest」とは「レモン近親相姦」という意味。 歌詞にも近親相姦を思わせる部分があり、実の娘に「あなたのキスは甘い」とか「あなたを愛しています」と歌わせています。 当時シャルロットは14歳。 上でご紹介したプロモーション・ビデオでは、大きなベッドみたいな場所で、露出した2人が寄り添っています。 彼は晩年もこんな調子です。 晩年、テレビに出演する機会は多かったが、髭も剃らず、しばしば酔ったままで現れた。 ホイットニー・ヒューストンと共演したときには “I want to fuck you” と発言した。 セルジュ・ゲンスブール ウィキペディア スキャンダラスな日々に思われますが、それが彼の平常運転なのかもしれません。 しかし一方で彼は生涯に550曲以上書き、1000回以上カバーされています。 多くのフランス人をあきれさせる一方で、惹きつける魅力を持った男。 もうこんな男は出てこないかもしれません。

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