02_「Only a Fool Would Say That」(アルバム:Can’t Buy A Thrill) Steely Dan - Only a Fool Would Say That[1,420,633_2015/08/24]
■曲名:Only a Fool Would Say That
■曲名邦題:オンリー・ア・フール
■アルバム名:Can’t Buy A Thrill
■アルバム名邦題:キャント・バイ・ア・スリル
■動画リンク:「Only a Fool Would Say That」
この曲は、アイヴィー(ivy)のカバーが有名です。
Ivy – Only A Fool Would Say That
アイヴィーのバージョンも良いとは思いますが、やはりオリジナルには適わないように思います。
スティーリー・ダンに、明るい曲は多くありません。
暗いというより、知性が勝るせいか、単純に突き抜けた曲が少ないように思います。
その例外といえるのが、この曲です。
クリアーなギターがいい感じですね。
曲名の「Only a Fool Would Say That」は「愚か者だけがそう言う」という意味です。
意味深な感じがしますが、歌詞を読んでも全く意味が分かりませんでした。
ちなみに彼らのバンド名の由来もご紹介しておきましょう。
バンド名は、ウィリアム・S・バロウズの小説『裸のランチ』に登場する男性器の張型「Steely Dan III from Yokohama」に由来する。
スティーリー・ダン ウィキペディア
彼らの言葉のセンスは少し独特で、気難しさとナンセンスな感覚を併せ持つことが多いように思います。
05_「Rikki Don’t Lose That Number」(アルバム:Pretzel Logic) Rikki Don't Lose That Number[6,592,449_2018/07/30]
■曲名:Rikki Don’t Lose That Number
■曲名邦題:リキの電話番号
■アルバム名:Pretzel Logic
■アルバム名邦題:プレッツェル・ロジック
■動画リンク:「Rikki Don’t Lose That Number」
この曲のイントロでは、ホレス・シルヴァー(Horace Silver)の「ソング・フォー・マイ・ファーザー(Song for My Father)」が引用されています。
Horace Silver – Song For My Father
注目すべきは引用そのものではなく、楽曲になじませるセンスかもしれません。
彼らがジャズに強く影響されていることは、かなり有名な話です。
特にこのアルバムは、最もジャズの影響がうかがえます。
「イースト・セントルイス・トゥードゥル・オー(East St. Louis Toodle-Oo)」は、デューク・エリントン(Duke Ellington)のカバー。
また「パーカーズ・バンド(Parker’s Band)」の「Parker」とは、ジャズ・サックス奏者チャーリー・パーカー(Charlie Parker)のこと。
特にチャーリー・パーカーについては、少し意外でした。
彼らとは真逆のタイプだと思いますから。
チャーリー・パーカーはジャズの即興演奏においては、頂点と言える存在です。
麻薬に溺れろくに歩けないような状態でも、サックスを持ちさえすれば、天を突き抜けるような演奏をしていました。
おもちゃみたいな粗雑なサックスであっても。
彼らが執拗にスタジオで録りなおしするのに対して、パーカーは一回限りその瞬間に燃え尽きようとしていました。
彼らは自分たちとは正反対のところに惹かれたのかもしれません。
08_「Do It Again」(アルバム:Can’t Buy A Thrill) Do It Again[59,566,173_2018/10/26]
■曲名:Do It Again
■曲名邦題:ドゥ・イット・アゲイン
■アルバム名:Can’t Buy A Thrill
■アルバム名邦題:キャント・バイ・ア・スリル
■動画リンク:「Do It Again」
彼らはデビュー時から、セールス面でも成功を収めていました。
このファースト・アルバムは全米チャート17位、この曲は6位を獲得しました。
当時は今と比べると、シングルチャートの重要性が違います。
昔は今よりもシングル・ヒットが重要視されていました。
そのしのぎを削る中で、新人がいきなりトップテン・ヒットを放つというのは、快挙だったといえるでしょう。
ただこの曲はデビュー曲ではありません。
彼らは以下の曲でデビューしました。
Steely Dan – Dallas
全く売れませんでしたから、ご存知ない方も多いかもしれません。
確かに今ひとつインパクトに欠ける印象があります。
初期の彼らは、計算され尽くしていないところに魅力がありました。
この曲だって結果的に大ヒットしましたが、かなり風変わりな曲ではないでしょうか。
まずラテン風のリズムですし、サビだってそれほどキャッチーとはいえません。
演奏面でも、エレキ・シタールやプログレッシブなキーボードの演奏など、ひとクセありますし。
デビュー・シングルが不発に終わったので、思い切ってやりたいようにやってみたのでしょうか。
09_「Reelin’ in the Years」(アルバム:Can’t Buy A Thrill) Reelin' In The Years[21,795,101_2018/10/26]
■曲名:Reelin’ in the Years
■曲名邦題:リーリン・イン・ジ・イヤーズ
■アルバム名:Can’t Buy A Thrill
■アルバム名邦題:キャント・バイ・ア・スリル
■動画リンク:「Reelin’ in the Years」
ファースト・アルバムのセカンド・シングルです。
「Do It Again」に続いて、全米11位を記録しました。
出だしは、まるでサザン・ロックみたいではないでしょうか。
しかしその後ピアノがリードしてからは一転、洗練した曲調に変わっています。
彼らはニューヨーク出身のバンドですが、ABCレコード(ABC Records)のゲイリー・カッツに見いだされると、活動の場を西海岸に移しました。
当時の西海岸では、さわやかで開放感のあるウェストコースト・サウンドが流行っていました。
一方彼らの音楽には、それほど解放感が感じられません。
特に後期は、どんどん密室なサウンドになっていきました。
しかし初期の彼らは、時折ウェストコースト・サウンドっぽいところがあります。
「Only a Fool Would Say That」もそうですが、この曲などはまるでドゥービー・ブラザーズ(The Doobie Brothers)の曲みたいではないでしょうか。
後期は少し息が詰まるという方には、初期がおすすめです。
10_「The Fez」(アルバム:The Royal Scam) The Fez - Steely Dan[1,573,163_2011/05/05]
■曲名:The Fez
■曲名邦題:トルコ帽もないのに
■アルバム名:The Royal Scam
■アルバム名邦題:幻想の摩天楼
■動画リンク:「The Fez」
このアルバムは、中期の傑作です。
同じアルバムから、もう1曲ご紹介しておきましょう。
Steely Dan – Kid Charlemagne
彼らの音楽をロックといえるかどうか、少し微妙かもしれません。
AORとも言われますが、後期の2枚以外は少し違うような気もしますし。
その中でこのアルバムは、ロック色が強いのが特徴です。
バーナード・パーディ(Bernard Purdie)のドラムこそロック的とは言い難いですが、これはこれで曲には合っていますね。
この曲の聞きどころは、ウォルター・ベッカーのギター・ソロです。
2:00ぐらいからをお聞きください。
私はウォルター・ベッカーはギタリストとして、過小評価されているように思います。
しかし彼はこんな演奏ができるのに、外部からギタリストを呼んだり、ベースの方に回ったりしていたのですね。
11_「My Old School」(アルバム:Countdown To Ecstasy) My Old School- Steely Dan- 1973[6,400,540_2008/02/07]
■曲名:My Old School
■曲名邦題:マイ・オールド・スクール
■アルバム名:Countdown To Ecstasy
■アルバム名邦題:エクスタシー
■動画リンク:「My Old School」
セカンド・アルバムからの曲です。
彼らのアルバムの中で、最も人気がないアルバムかもしれません。
このアルバムは、とても短い期間でレコーディングされたようです。
そのせいか彼らの作品の中で、最も隙のあるアルバムといえるかもしれません。
もう一曲このアルバムから「菩薩(Bodhisattva)」という曲もご紹介しておきましょう。
Steely Dan – Bodhisattva
私は後期の彼らの作品について、相反する感情を抱いています。
確かにめっぽう質は高い。しかし完璧すぎてどことなく落ち着かない。
センスの良さと美意識は見事だと思うものの、完璧すぎるせいか感情移入しにくいと。
しかしこの曲での彼らは、もっとフランクな魅力があります。
電車で隣の人に、クッキーでもどうかとすすめそうな(笑)
この曲は彼らの曲の中で最も楽しく、人間らしさが感じられる名曲だと思います。