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01_「I Just Wanna Stop」(アルバム:Brother to Brother)
Gino Vannelli - I Just Wanna Stop (From "Brother to Brother" Album)[5,812,234_2009/06/26]
■曲名:I Just Wanna Stop ■曲名邦題:アイ・ジャスト・ワナ・ストップ ■アルバム名:Brother to Brother ■アルバム名邦題:ブラザー・トゥ・ブラザー ■動画リンク:「I Just Wanna Stop」
この曲は彼の代表作と呼ばれています。 本国カナダではシングルチャート1位、アメリカでも4位を記録しました。 好き嫌いが分かれるこの人の曲の中でも、最も万人受けする曲の1つかもしれません。 さてアルバム名の「Brother to Brother」は「兄弟から兄弟へ」という意味です。 実際このアルバムには、ジノ・ヴァネリの兄弟が参加しています。 この曲での兄弟の役割を整理しておきましょう。 ・ジョー・ヴァネリ(Joe Vannelli):キーボード、アレンジ(兄) ・ジノ・ヴァネリ:歌 ・ロス・ヴァネリ(Ross Vannelli):作詞、作曲(弟) ちなみにプロデュースはこの3人が出がけていますから、まさに兄弟総出でつくり上げたのですね。 ちなみに参加していませんが、父親もビックバンドのシンガーでした。 さてこの曲は、情熱的なサビが聞きどころです。 特に2:59ぐらいからドラマティックに歌い上げる展開は最高すぎます!

02_「Living Inside Myself」(アルバム:Nightwalker)
Gino Vannelli - Living Inside Myself[6,377,420_2014/05/09]
■曲名:Living Inside Myself ■曲名邦題:リヴィング・インサイド・マイセルフ ■アルバム名:Nightwalker ■アルバム名邦題:ナイトウォーカー ■動画リンク:「Living Inside Myself」
「I Just Wanna Stop」と並ぶ彼の定番曲です。 前作「Brother to Brother」の成功を機に、彼はA&Mから大手のアリスタ・レコード(Arista Records)に移籍することになりました。 ただアリスタとの契約は、彼にとって悪夢だったようです。 ファンの間では有名な話ですが、この後彼は「Twisted Heart」というアルバムをリリースしました。 しかしアリスタ社長のクライヴ・デイヴィス(Clive Davis)と衝突して、発売一週間で回収されてしまいました。 そんなことあるんですね。 このクライヴ・デイヴィスという人物は、強烈に現場介入することで知られる剛腕社長です。 サンタナなどその手法がうまくいくこともありましたが、一方で多くのアーティストと衝突をしています。 結局ジノは、多額のお金を支払ってアリスタとの契約を破棄しました。 ちなみに回収された幻のシングルは、現在ベスト盤で聞くことができます。 リンクを貼っておきましょう。 Gino Vannelli-The Longer You Wait この騒動の爪跡は大きく、彼は全盛期の数年を無駄にしてしまいました。 次作の「ブラック・カーズ(Black Cars)」はヒットこそしましたが、内容的にはかんばしくありませんでしたし。

03_「Fly into This Night」(アルバム:The Gist Of The Gemini)
Gino Vannelli - Fly into this night.wmv[157,696_2012/08/22]
■曲名:Fly into This Night ■曲名邦題:フライ・イントゥ・ディス・ナイト ■アルバム名:The Gist Of The Gemini ■アルバム名邦題:ジスト・オブ・ジェミニ ■動画リンク:「Fly into This Night」
ジノの魅力はダイナミックな歌唱力です。 この人の音楽を聞くと、様々な音楽の影響がうかがえます。ジャズやソウルの影響が強めかもしれません。 この曲のファルセットボーカルも、ソウル・ミュージック経由のように思えます。 ファルセットは音程のコントロールが難しいものですが、ここでの彼の歌は奔放でも安定感がありますね。 そしてその歌を受け止めるサウンドも、負けじとダイナミックです。 この曲のアレンジは、スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonde)あたりの影響を受けているかもしれせん。 とても革新的なサウンドではないでしょうか。 彼の音楽の魅力の半分はバックの演奏にあります。時には演奏が主役と思えるほどに。 AORではサウンドに凝る人が多いですが、ここまでこだわる人はほとんどいません。 他にはスティーリー・ダン(Steely Dan)ぐらいでしょうか。 ただ次作の「ア・ポーパー・イン・パラダイス(A Pauper In Paradise)」では、オーケストラと共演していて、サウンド重視になりすぎた感じもしますが。

04_「Venus Envy」(アルバム:These Are The Days)
Gino Vannelli - Venus Envy (From "These are the days" Album)[34,813_2010/01/15]
■曲名:Venus Envy ■曲名邦題:ヴィーナス・エンヴィ ■アルバム名:These Are The Days ■動画リンク:「Venus Envy」
2000年以降の彼の活動は、熱心なファン以外にはあまり知られていません。 2003年には「Canto」というカンツォーネを歌ったアルバムを発表しています。 そのアルバムはマービン・ゲイ(Marvin Gaye)のポピュラーソング集のように、悪い出来ではないもののそれじゃない感がありました。 その次作がこのアルバムです。 昔の再録音なども含んだアルバムでしたが、これが意外と掘り出し物です。このようなすばらしい新曲も収録されていますしね。 この曲は以前とは少し違った軽みがあって、良い意味で気軽に聞けるところがあります。 特にサビの魅力という点では、彼の曲の中でも1、2争う曲かもしれません。 ちなみに現在彼は音楽教師で生計を立ってながら音楽活動をしているようです。 経済的な安定を確保しているせいか音楽にも余裕が感じられ、次作「A Good Thing」でも「Gypsy Days」という名曲を残しています。

05_「People Gotta Move」(アルバム:Powerful People)
Gino Vannelli - People Gotta Move (1974)[345,834_2014/01/31]
■曲名:People Gotta Move ■曲名邦題:ピープル・ガッタ・ムーヴ ■アルバム名:Powerful People ■アルバム名邦題:パワフル・ピープル ■動画リンク:「People Gotta Move」
この人はオランダや南アフリカなど、意外な国でヒットしています。 ちなみにこの曲はセカンドアルバムからですが、本国カナダとアメリカは共に60位と、まだブレイクしたとはいえませんでした。 ただオランダのヒットチャートでは、11位まで駆け上がっています。 どうやら道路や旅行情報提供している団体のCM曲に採用されたようですね。 曲名の「People Gotta Move」は「人々は移動しなければいけない」という意味です。 うまくテーマと合致していたことから採用されたと思いますが、思いの外この曲の力があったのでしょう。2008年にも再度オランダでヒットしています。 当時としては相当新しい音楽だったと思われますが、今聞いても攻めている音づくりが印象的です。

06_「Brother to Brother」(アルバム:Brother to Brother)
Gino Vannelli - Brother To Brother (1978)[592,502_2014/03/13]
■曲名:Brother to Brother ■曲名邦題:ブラザー・トゥ・ブラザー ■アルバム名:Brother to Brother ■アルバム名邦題:ブラザー・トゥ・ブラザー ■動画リンク:「Brother to Brother」
先程彼の音楽は、サウンド重視だと申し上げました。 それはつまり、レコーディングに参加するプレイヤーにも質を求めるということです。 実際このアルバムの参加メンバーは、誰も彼もが手練れぞろいです。 まずギターのカルロス・リオス(Carlos Rios)は、当時の要ともいえる人でした。 試しに2:50からのギターを、お聞きになってみてください。思わずのけぞってしまうようなギターです。 そのギターソロが、この曲の一番の聞きどころではないでしょうか。 その後プログレのような展開が続きますが、兄のジョー・ヴァネリのアレンジが冴えています。 続いて4:36からは、ベースのジミー・ハスリップ(Jimmy Haslip)とドラムのマーク・クラニー(Mark Craney)が躍動していますね。

07_「Put the Weight on My Shoulder」(アルバム:The Best And Beyond)
Put the Weight On My Shoulders[7,937_2015/06/24]
■曲名:Put the Weight on My Shoulder ■曲名邦題:ウェイト・オン・マイ・ショルダーズ ■アルバム名:The Best And Beyond ■アルバム名邦題:ベスト・アンド・ビヨンド ■動画リンク:「Put the Weight on My Shoulder」
この曲は「Nightwalker」の曲の再録音です。 私は基本的に再録音の曲が好きではありません。しかしこのバージョンを聞いた時に、素直に良い出来だと思いました。 私はこの人の音楽を理解するのに、結構時間がかかりました。 すごいのは分かるけれど、熱いというか無駄に暑苦しいように感じていたのですね。 しかし聞き込む内に、彼の音楽にねじ伏せられていきました。 今回初めて彼の音楽を聞く方も、私と同じような苦手意識を持たれてしまうかもしれません。 そこでこういうシンプルな曲で一息入れていただくようにしました。 しかしピアノだけをバックに歌い上げる彼の歌は、とても味わい深いですね。

08_「Jack Miraculous」(アルバム:Powerful People)
Gino Vanelli-Jack miraculous 1974[125,583_2008/12/29]
■曲名:Jack Miraculous ■曲名邦題:ジャック・ミラクラス ■アルバム名:Powerful People ■アルバム名邦題:パワフル・ピープル ■動画リンク:「Jack Miraculous」
彼はミュージシャンズ・ミュージシャンと呼ばれています。 私はあまり楽理的な知識はありませんが、知識がある人にとってはとても刺激的なのだそうです。 彼はマギル大学というカナダのエリート大学で、音楽理論を学んできた人です。 基礎がしっかりしている人なのですね。しかし頭でっかちではありません。むしろ逆といってもいいぐらい。 このアルバムは彼の2枚目のアルバムです。 ファースト・アルバムの「クレイジー・ライフ(Crazy Life)」は、それ以降とはかなり音楽性が異なります。 マイケル・フランクス(Michael Franks)のようなメロウな曲が多く、まだ彼のダイナミズムが発揮されていません。 彼のキャリアは実質的にこのアルバムから始まったと言ってもいいと思います。 ここからはよりグルーヴィーで、プログレっぽい展開の曲が増えました。 曲に野性味が出てきましたし。 彼は理知的な部分を情熱が上回った時に名曲が生まれる人だと思います。

09_「Summers of My Life」(アルバム:The Gist Of The Gemini)
Summers Of My Life[140,464_2018/07/30]
■曲名:Summers of My Life ■曲名邦題:戦争組曲:サマーズ・オブ・マイ・ライフ ■アルバム名:The Gist Of The Gemini ■アルバム名邦題:ジスト・オブ・ジェミニ ■動画リンク:「Summers of My Life」
「戦争組曲」という組曲のラストを飾った曲です。 歌詞では戦争というももの愚かさ、むなしさを訴えています。 ジノはとても真面目な人らしく、A&Mからアリスタに移籍した時も、アイドル的に売ろうとしたA&Mの方針に嫌気が差したからだそうです。 そもそも彼はA&Mと契約するに苦労しました。 彼は毎日のようにA&Mのオフィスに出没し、時には警備員に捕まえられながらデモテープをハーブ・アルパート(Herb Alpert)に渡し、ようやくチャンスをつかみました。 生真面目さから、苦労して手に入れた契約を手放したということになります。 この曲は彼の硬派な部分がよく表れています。 昔のロックバンドは、とかく組曲というものをやりたがる傾向にありました。 そこには「自分には世界に伝えたいことがある」という使命感みたいなものがあったかもしれません。 今ではロックを通じて自分のメッセージを伝えるということ自体、少し陳腐化してしまった感があります。 私はそれが少し残念に思います。 彼の音楽が現在もなお様々な人に評価されているのは、ストイックに自分の理想を追求したからかもしれません。

10_「Where Am I Going」(アルバム:Storm At Sunup)
GINO VANNELLI - Where Am I Going (1975)[106,023_2015/03/19]
■曲名:Where Am I Going ■アルバム名:Storm At Sunup ■アルバム名邦題:夜明けの嵐 ■動画リンク:「Where Am I Going」
実は前作「Powerful People」には、ギタリストが参加していません。 今でこそギター無しの曲は珍しくありませんが、当時のロック・ポップスでは異例なことでした。 先程ご紹介した「People Gotta Move」もギターなしで、キーボードのみでした。 しかしこのアルバムではギターが入っています。ギターはなんとAORの伝説、ジェイ・グレイドン(Jay Graydon)です。 もしかしたらグレイドンでなかったら、このアルバムもギターなしだったかもしれません。 期待に応えて、4:21からグレイドンのギターが炸裂しています。グレイドンの名演の中でも、最も熱い演奏の1つではないでしょうか。 この人にかかわるとプレイヤーもリスナーも、みんな熱くなるのですね。 この人の音楽は、単なるロック・ポップスの枠に収まりきらないところがあります。 その過剰であったりはみ出たところが、この人の最大の魅力ではないでしょうか。

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