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Little Feat  目次  前Supertramp  次Emitt Rhodes 

01_「Dixie Chicken」(アルバム:Dixie Chicken)
Dixie Chicken[1,269,150_2015/09/02]
■曲名:Dixie Chicken ■曲名邦題:ディキシー・チキン ■アルバム名:Dixie Chicken ■アルバム名邦題:ディキシー・チキン ■動画リンク:「Dixie Chicken」
このアルバムから彼らの音楽は大きく変わりました。 変化のポイントは、アメリカ南部音楽の導入です。 「ディキシー・チキン」とは「南部の鳥」という意味。 スワンプ・ロックでは、よく鶏の鳴き声を模したピアノが入っていますが、この曲でもイントロでピアノがカンカン鳴っています。 もう1つ南部の音楽の影響が感じられるのは、コッテリした分厚い女性コーラスです。 この曲でもバックコーラスという枠を超えて存在感を放っています。 実は彼らはカルフォルニア出身のバンドなので、生粋の南部のバンドではありません。 そのせいかこの路線は1枚限りとなりましたが、よそ者の南部音楽は本場の味わいがありました。

02_「Willin’」(アルバム:Sailin’ Shoes)
Willin'[979,674_2014/11/08]
■曲名:Willin’ ■曲名邦題:ウィリン ■アルバム名:Sailin’ Shoes ■アルバム名邦題:セイリン・シューズ ■動画リンク:「Willin’」
この曲を書いたローウェル・ジョージ(Lowell George)は、元々フランク・ザッパ(Frank Zappa)率いる「マザーズ・オブ・インヴェンション(The Mothers of Invention)」に所属していました。 当時この曲を麻薬嫌いのフランク・ザッパに聞かせたところ、ドラッグの運び屋ドライバーの曲であることを理由に却下されたそうです。 そのせいでローウェルはザッパのバンドを辞めることになりました。クビになったのだとか。 そこで彼はリトル・フィートを結成し、この曲をファースト・アルバムに収録しました。 またセカンド・アルバムでも同じ曲を再演していますから、三度目の正直です。 よほど聞いてもらいたかったのでしょうね。 先程この曲をドラッグの運び屋の曲と申し上げました。 今回改めて歌詞を読んでみると、それほどドラッグ中心の歌詞ではないように感じられました。 「Willin’」とは「喜んで」というような意味です。 いつでも、どんな天気でも、何でも、喜んで運ぶよという感じの歌詞です。 確かに白い何かとか草とかにおわせている感じがしないでもありません。 ともあれザッパのバンドをクビになったことで、リトル・フィートが結成されて良かったと思います。

03_「Truck Stop Girl」(アルバム:Little Feat)
Truck Stop Girl[53,691_2014/11/06]
■曲名:Truck Stop Girl ■曲名邦題:トラック・ストップ・ガール ■アルバム名:Little Feat ■アルバム名邦題:リトル・フィート・ファースト ■動画リンク:「Truck Stop Girl」
先程の「Willin’」と同じく、トラック・ドライバーをテーマにした曲です。 こちらはトラック・ドライバーが「Truck Stop」と呼ばれる給油や食事がとれる場所で働いている女性に恋をしたという歌詞です。 なぜトラックにこだわっているのだろうと思い、ローウェル・ジョージの生い立ちを調べてみました。 するとガソリンスタンドでアルバイトをしていたことが判明しました。 おそらくこの曲も、その頃の思い出を元に書かれたかもしれません。 ちなみにこの曲は、ザ・バーズ(The Byrds)が「タイトルのないアルバム(Untitled)」に収録されているでカバー曲の方が有名です。 そういう有名曲が入っているのに、このデビュー・アルバムは過小評価されているかもしれません。 惜しくも選外となりましが、他にも「Crazy Captain Gunboat Willie」という名曲も収録されています。

04_「Easy to Slip」(アルバム:Sailin’ Shoes)
Easy to Slip[263,541_2014/11/09]
■曲名:Easy to Slip ■曲名邦題:イージー・トゥ・スリップ ■アルバム名:Sailin’ Shoes ■アルバム名邦題:セイリン・シューズ ■動画リンク:「Easy to Slip」
このバンドをアメリカのローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)という言い方をする人もいます。 確かに「Sailin’ Shoes」「Dixie Chicken」あたりでは、ストーンズとの共通点が感じられます。 「Dixie Chicken」は「レット・イット・ブリード(Let It Bleed)」あたりをヒントにしたのかもしれません。 「Roll Um Easy」は「No Expectations」みたいですし、この曲のイントロも「Street Fighting Man」のギターの鳴り方に近いものを感じます。 コーラスの使い方なども、かなり影響を受けている感じがしますしね。 またこのアルバムから彼らのトレードマークといえる、ネオンパーク(NeonPark)がアルバム・ジャケットを手掛けるようになりました。 おそらくフランク・ザッパが「いたち野郎(Weasels Ripped My Flesh)」で、ネオンパークを起用したのを真似したのだと思われます。 後にこのバンドはオンリーワンの存在となりましたが、その過程では他から影響を受けまくってきたのですね。

05_「Texas Rose Cafe」(アルバム:Sailin’ Shoes)
Texas Rose Cafe[37,507_2014/11/09]
■曲名:Texas Rose Cafe ■曲名邦題:テキサス・ローズ・カフェ ■アルバム名:Sailin’ Shoes ■アルバム名邦題:セイリン・シューズ ■動画リンク:「Texas Rose Cafe」
実在するカフェのことを歌っている曲です。 ローウェル・ジョージがあるヒッピー用のレストランを気に入って曲にしたのだとか。 そういういきさつのせいか、この曲には映像喚起力が感じられます。 このアルバムには他にも、音のすき間が感じられる曲が多いように感じます。 たとえばこの曲の最初の30秒ほどをお聞きください。 ボーカル以外にも多くの楽器が入っていますが、演奏は意外なほどスカスカな印象です。 まるで音の空間を埋めてしまわない様に、皆で示し合わせ注意深く音を出しているみたいですね。 ただそのすき間のせいで、とても想像力をかき立てる音響空間ができ上っています。 また1:56から唐突にプログレッシブな展開になりますが、こういうところはザッパから学んだかもしれません。 趣味の良いミニシアター系映画を見ているような気分にさせてくれる曲です。

06_「Two Trains」(アルバム:Dixie Chicken)
Little Feat - Two Trains[151,539_2013/02/17]
■曲名:Two Trains ■曲名邦題:トゥー・トレインズ ■アルバム名:Dixie Chicken ■アルバム名邦題:ディキシー・チキン ■動画リンク:「Two Trains」
このアルバムで彼らはメンバー構成を変えています。 新たにギタリストのポール・バレア(Paul Barrere)とパーカッショニストのサム・クレイトン(Sam Clayton)が加わりました。 この変更は、彼らが向かおうとしていた行く先を示唆していました。 ポールはロックだけでなく、ジャズやケイジャン音楽など、幅広いバックグラウンドを持っている人です。 ポールは早速このアルバムの曲作りに参加して、次作「Feats Don’t Fail Me Now」では「Skin it Back」という、後期を代表する名曲を書きました。 後のフュージョン・ロック路線のキーマンです。 またパーカショニストを加入させたのは、もちろんリズムを重視する意図があるのだと思わます。 実際この曲でもパーカッションが活躍していますね。 またベースもロイ・エストラーダ(Roy Estrada)から、ケニー・グラッドニー(Kenny Gradney)に替わりました。 そのせいでリズムが少し粘っこくなったように思います。

07_「I’ve Been the One」(アルバム:Little Feat)
I've Been The One - Little Feat[23,718_2013/03/03]
■曲名:I’ve Been the One ■曲名邦題:アイヴ・ビーン・ザ・ワン ■アルバム名:Little Feat ■アルバム名邦題:リトル・フィート・ファースト ■動画リンク:「I’ve Been the One」
ローウェル・ジョージはザッパのバンドに加入する前にファクトリー(The Factory)というバンドでデビューを果たしていました。 そのバンドの曲のリンクを貼っておきます。 Lowell George & The Factory – Smile, Let Your Life Begin このバンドではフォーク・ロックっぽい音楽をやっています。 ザッパがファクトリーをプロデュースしたことがきっかけで、ローウェルはザッパのバンドに加入することになりました。 一方でローウェル・ジョージは、尺八やシタールなどに興味を持ち、ウェストコースト・ジャズも好むという一面も持っていました。 雑多な音楽のバックグラウンドを持っている人です。 リトル・フィートも最初は多様な曲を演奏していたそうですが、レコード会社と契約する時、あまりにもバラバラな曲に難色を示されたそうです。 そこで彼らは少し音楽性を整理して、ようやくレコード会社との契約を勝ち取りました。 その結果がこのファースト・アルバムです。 このアルバムがややこじんまりとした印象を受けるのは、そうしたいきさつが関係しているかもしれません。 この曲はペダル・スチールが効果的に使われていて、情感のある曲に仕上がっています。

08_「Long Distance Love」(アルバム:The Last Record Album)
Little Feat- Long Distance Love[249,528_2012/03/17]
■曲名:Long Distance Love ■曲名邦題:ロング・ディスタンス・ラヴ ■アルバム名:The Last Record Album ■アルバム名邦題:ラスト・レコード・アルバム ■動画リンク:「Long Distance Love」
今回はサード・アルバムまでの曲ばかりになってしまいました。 ここで1曲それ以外の時期からこの曲だけご紹介しておきましょう。 私は後期のアルバムも嫌いではないのですが、強く推したい曲がないように思いました。 楽曲重視から演奏重視に変わったせいもあるかもしれません。 たとえば「The Last Record Album」に入っている「Romance Dance」など演奏は最高ですが、もう少し楽曲が良ければと感じますし。 そういう中でこの曲や「All That You Dream」など、魅力的な楽曲もありますが。 この頃のローウェル・ジョージは以前ほど存在感がなく、メンバーの1人という感じになっています。 どうやらドラッグの影響で体調が思わしくなかったようですが。 そういう中でもこういう曲を書けるのはさすがです。

09_「Fat Man in the Bathtub」(アルバム:Dixie Chicken)
Fat Man in the Bathtub[503,377_2015/09/02]
■曲名:Fat Man in the Bathtub ■曲名邦題:ファット・マン・イン・ザ・バスタブ ■アルバム名:Dixie Chicken ■アルバム名邦題:ディキシー・チキン ■動画リンク:「Fat Man in the Bathtub」
先程このアルバムは、アメリカ南部音楽の影響を受けていると書きました。 具体的にはニューオリンズの音楽の影響を感じます。 ニューオリンズの音楽は雑食感があって、セカンドライン・リズムと呼ばれる独特なリズムも特徴の1つ。 具体的にはこの曲のイントロを聞いていただければお分かりいただけると思います。 もしこの曲が気に入ったら、アラン・トゥーサン(Allen Toussaint)、ドクター・ジョン(Dr. John)、ミーターズ(The Meters)あたりを聞いてみるといいでしょう。 しかしこのバンドには、彼ら独自の魅力もありました。 それはローウェル・ジョージによる異端のスライド・ギター。 この曲でも彼のスライドが縦横無尽に活躍していて、この曲に奔放さを加えています。 1:05からのギターとリズムの絡みは鳥肌ものです。

10_「Trouble」(アルバム:Sailin’ Shoes)
Little Feat Trouble[56,307_2010/12/06]
■曲名:Trouble ■曲名邦題:トラブル ■アルバム名:Sailin’ Shoes ■アルバム名邦題:セイリン・シューズ ■動画リンク:「Trouble」
「Dixie Chicken」以降の彼らは、フュージョンっぽい演奏が多くなりました。 この記事では初期の曲を多めにしましたが、演奏面では「Dixie Chicken」以降の方が良いかもしれません。 今回ランキングを作成するにあたり、もっと後期の曲を多く入れることも考えてみました。 しかし多様性よりも、私が考えるリトル・フィート像をご提示したいと思いました。 そこで初期の情感とリズム、スライドの魅力に焦点を当てようと思いました。 たとえばこのシンプルすぎる曲に込められた情感はいかがでしょうか。 シンプルな演奏ゆえに素材の良さが際立つ、カントリー・バラードの傑作です。

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